ドライアイ
ドライアイとは
ドライアイは、目の表面を潤す涙液の分泌不足や質の低下により、目の乾燥や不快感を引き起こす眼科疾患です。
涙液は、目の表面を保護し、異物の除去や潤いを保つ重要な役割を果たしていますが、さまざまな要因でその機能が低下すると、ドライアイの症状が現れます。
ドライアイは加齢、長時間のパソコン作業、コンタクトレンズの装用、環境要因などが主な原因として挙げられ、現代人に非常に多い疾患です。
ドライアイの主な症状
ドライアイの症状は、軽度から重度まで様々ですが、以下のような主な症状が見られます。
- 目の乾燥感:長時間のパソコン作業やスマホ使用により、目がカサカサする
- 異物感・ゴロゴロ感:まるで砂が入っているような感覚
- 目の疲れ:持続的な乾燥が原因で、目の疲労や重だるさを感じる
- 充血:目が赤くなることが多く、炎症を伴う場合もある
- かすみ・ぼやけた視界:涙の膜が乱れることで、視界が一時的にぼやける
- 反射性流涙:乾燥による刺激から、かえって涙があふれることも
これらの症状は、生活の質に大きな影響を与えるため、早期の対処が求められます。
ドライアイの原因や種類
原因
ドライアイの原因は多岐にわたりますが、主な要因としては次のものがあります。
- 加齢:年齢とともに涙液の分泌量が減少する
- 長時間のデジタルデバイス使用:パソコンやスマホの画面を長時間見ることで、瞬きの回数が減少し涙が蒸発しやすくなる
- コンタクトレンズの使用:不適切なレンズケアや長時間装用により、目の乾燥が進行する
- 環境要因:乾燥した空気、エアコンや暖房の使用、風の強い環境
- メイボーム腺機能不全:涙液の油分が不足すると、涙液が蒸発しやすくなる
種類
ドライアイは、主に以下の2タイプに分類されます。
- 蒸発性ドライアイ:涙液の蒸発が主な原因。特にメイボーム腺の機能低下が関連し、コンタクトレンズ使用者やパソコン作業者に多く見られます。
- 不十分性ドライアイ:涙液自体の分泌量が減少することが原因。加齢や全身性の疾患(例:シェーグレン症候群)によって引き起こされます。
それぞれのタイプに応じた治療法が必要となるため、正確な診断が重要です。
ドライアイの検査の流れ
ドライアイの正確な診断には、いくつかの検査が行われます。以下は、一般的な検査の流れです。
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問診と視診
患者さんの生活習慣や症状の出現状況を詳しく聞き取ります。
目の乾燥感、異物感、かすみなどの具体的な症状を確認します。 -
シルマー検査
眼に専用の紙を置き、一定時間後の涙液の量を測定し、涙液分泌量を評価します。 -
涙液ブレイクアップタイム(BUT)検査
涙の膜がどのくらいの時間で崩れるかを測定し、涙液の安定性を確認します。 -
眼表面染色検査
フルオレセインやローダイン染色剤を使用し、角膜や結膜の異常(微小な傷や欠損)を検出します。 -
スリットランプ検査
眼科顕微鏡を用いて、目の表面、涙液層、メイボーム腺の状態を詳細に観察します。
これらの検査により、ドライアイの原因(涙液の量不足、質の低下、蒸発性の問題など)を正確に把握し、最適な治療計画を立てます。
ドライアイの治療
ドライアイの治療は、原因と症状の重症度に応じて個別に設定されます。
治療法は主に以下の通りです。
人工涙液の点眼
不足する涙液を補うため、保湿効果の高い人工涙液を定期的に点眼します。
ヒアルロン酸やポリビニルアルコールなど、さまざまな成分の製品が用いられます。
処方薬の点眼
ムコスタ点眼や抗炎症点眼薬など、涙液の質改善や炎症抑制を目的とした薬剤が処方される場合があります。
涙点プラグ挿入
涙の流出を抑えるために、涙点に小さなプラグを挿入し、涙液の蒸発を防ぎます。
特に重症例や点眼療法で十分な改善が見られない場合に検討されます。
生活習慣の改善と環境調整
定期的な休憩、適切な瞬きの促進、加湿器の利用、エアコンや暖房の設定温度の見直しなど、生活環境を整えるアドバイスが行われます。
長時間のデジタルデバイス使用を控えるなど、生活習慣の改善も重要です。
メイボーム腺のケア
温かいタオルを使ったホットコンプレスや、専用のマッサージでメイボーム腺機能の改善を図ります。
治療方法は単独または複合的に実施され、患者さんの症状とライフスタイルに合わせた個別の治療プランが提供されます。
定期検診を通じて、治療効果の評価と必要な治療法の見直しが行われるため、継続的なフォローアップが非常に重要です。
