加齢黄斑変性
加齢黄斑変性とは
加齢黄斑変性は、加齢に伴い網膜の中心部である黄斑が障害される疾患です。
黄斑は、細かい文字や顔認識など中心視野の高精度な視覚を司る重要な部分であり、ここに異常が生じると視力低下や中心視野の欠損が進行します。
日本では高齢者に多く見られる失明原因のひとつで、早期発見・早期治療が視力維持に大きく関与します。
加齢黄斑変性には、乾燥型(萎縮性)と滲出型(新生血管型)の2種類があり、それぞれ治療法や予後が異なります。
加齢黄斑変性の主な症状
加齢黄斑変性の進行に伴い、患者さんには以下のような症状が現れます。
- 中心視野の欠損:視野の中心部分に暗い部分やぼやけが生じ、細かい物が見えにくくなる
- 変視症:直線が波打って見える、物の形が歪んで見える
- 視力低下:文字がかすんで見える、視界が全体的にぼやける
- 色の識別障害:色がくすんで見え、鮮やかさが失われる
- 中心部の明暗差の低下:中心部の明るさが低下し、顔認識に影響が出る
これらの症状は進行すると、日常生活に大きな影響を与えるため、早期発見と適切な管理が求められます。
加齢黄斑変性の原因や種類
原因
加齢黄斑変性の発症には以下のようなリスク要因があります。
- 加齢:年齢とともに黄斑の細胞が劣化し、変性が進む
- 遺伝的要因:家族歴がある場合、発症リスクが高まる
- 生活習慣:喫煙、偏った食生活、高血圧、肥満などが影響する
- 環境要因:紫外線の強い環境に長期間晒されること
種類
- 乾燥型(萎縮性)加齢黄斑変性
黄斑の細胞が徐々に萎縮し、緩やかな視力低下を引き起こすタイプ。治療法は主に栄養療法や生活習慣の改善が中心となります。 - 滲出型(新生血管型)加齢黄斑変性
黄斑下に異常な新生血管が発生し、これが漏出・出血することで急激な視力低下や中心視野欠損を招くタイプ。抗VEGF薬の硝子体内注射やレーザー治療が治療の柱となります。
各タイプにより進行スピードや治療アプローチが異なるため、正確な診断が非常に重要です。
加齢黄斑変性の検査
加齢黄斑変性の早期発見と正確な診断のため、以下の検査が行われます。
眼底検査
- 直接眼底観察:特殊な器具(眼底鏡、スリットランプ)を用いて、黄斑の状態や新生血管の有無を確認します。
- 撮影検査:眼底写真により、黄斑の細部を記録し、病態の進行度を評価します。
光干渉断層計(OCT)検査
高精度の画像で黄斑の構造を断層的に捉え、網膜の厚みや浮腫、層構造の変化を詳細に解析します。
これにより、乾燥型と滲出型の判別が可能となります。
蛍光眼底造影検査
蛍光色素を用いて血管の流れや漏出を視覚化し、新生血管の有無、漏出の程度を評価します。
特に滲出型加齢黄斑変性の診断に有用です。
これらの検査は、加齢黄斑変性の種類や進行度を正確に把握するために欠かせないものであり、早期治療への重要な判断材料となります。
